□建築鉄骨から発生する脆性破壊の防止に関する研究 |
一般に,鋼材は強くて粘りがあるので,破断するまでには大きな変形を生じます. ところが,凍らせたバラが少し触れるだけで壊れてしまうように,鋼材でも低温(-100℃くらい)になると,脆く壊れてしまいます. この破壊状況を脆性破壊と言います.鋼材ではさまざまな要因によって,常温でも脆性破壊が生じることがあります. 兵庫県南部地震で日本の建築物としてはじめて脆性破壊が確認されました. この破壊は,発生すると柱と梁などの接合部全体に進むことがあり,それによって建物が倒壊する恐れもあります. 本研究では,脆性破壊を防止するため,建築鉄骨(特に接合部の溶接欠陥など)から脆性破壊発生の危険性があるのか, ないのかを判定する方法を確立することを目的として,実験と解析(有限要素解析によるシミュレーション)を行っています. |
□並進運動を伴う回転摩擦ダンパーの開発に関する研究 |
回転摩擦ダンパーの研究は古くからあり,実用化もなされていますが(Damptech 社製等),通常の回転摩擦ダンパー の端部はピン接合となり施工精度が要求されます.骨組内のブレース端部,あるいは,壁面端部等に生じるせん断変形を回転運動に変換し, この回転摩擦運動によりエネルギー消散を行う回転摩擦ダンパーを提案しています.この場合,回転摩擦ダンパー端部にピン接合は必要なく, 例えば,工場で製作した回転摩擦ダンパーをブレース端部あるいは補強したガセットプレート等をボルト接合できるため, 施工は容易となると考えられます.そこで本研究では,実験および解析により並進運動を伴う回転摩擦ダンパーの 基本的な力学的特性を把握します.その上で,建物の内部にダンパーに装備した骨組の強地震下におけるシミュレーションを実施し, 並進運動を伴う回転摩擦ダンパーの制震効果を確認することで,提案するダンパーの開発を目指します. |
<科学研究費> 基盤研究(C) 課題番号:22K04424,期間:2022~2024年度,代表・分担の別:代表者 課題名:シャルピー値による繰返し負荷・塑性拘束の影響を考慮した累積塑性変形推定方法の確立 基盤研究(C) 課題番号:22K04403,期間:2022~2024年度,代表・分担の別:分担者 課題名:梁端現場溶接部の脆性破壊を抑制する接合部詳細の最適化-接合部の品質管理基準 基盤研究(C) 課題番号:19K04721,期間:2019~2021年度,代表・分担の別:代表者 課題名:繰返し負荷による破壊靱性低下の影響を考慮した溶接接合部の脆性破壊評価 基盤研究(C) 課題番号:19K04699,期間:2019~2021年度,代表・分担の別:分担者 課題名:脆性破壊の予測手法に基づく梁端溶接部の接合部詳細の最適化-接合部の品質管理基準 基盤研究(C) 課題番号:16K06598,期間:2016~2018年度,代表・分担の別:代表者 課題名:繰返し履歴・延性き裂を考慮した欠陥からの脆性破壊予測:累積塑性変形推定方法の確立 基盤研究(C) 課題番号:16K06595,期間:2016~2018年度,代表・分担の別:分担者 課題名:溶接欠陥に起因する脆性破壊に決定づけられる終局耐力の予測-接合部の品質管理基準 若手研究(B) 課題番号:25820276,期間:2013~2015年度,代表・分担の別:代表者 課題名:繰返し履歴を考慮した欠陥から発生する脆性破壊予測:累積塑性変形能力推定方法の確立 基盤研究(C) 課題番号:25420600,期間:2013~2015年度,代表・分担の別:分担者 課題名:欠陥を起点とする延性亀裂の進展と脆性破壊への転化の予測-接合部の品質管理基準 基盤研究(C) 課題番号:22560579,期間:2010~2012年度,代表・分担の別:分担者 課題名:溶接欠陥から進展した延性亀裂を起点とする脆性破壊発生の予測-接合部の品質管理基準 若手研究(B) 課題番号:18760428,期間:2006~2008年度,代表・分担の別:代表者 課題名:溶接欠陥から発生する脆性破壊の適切な予測手法の開発 <その他外部資金> 2022年度鋼構造研究・教育助成事業(一般社団法人 日本鉄鋼連盟) 期間:2022年度 課題名:並進運動を伴う回転摩擦ダンパーの力学的特性と制震効果(2021からの継続) 2021年度鋼構造研究・教育助成事業(一般社団法人 日本鉄鋼連盟) 期間:2021年度 課題名:並進運動を伴う回転摩擦ダンパーの力学的特性と制震効果 平成28年度研究助成(公益財団法人 大林財団) 期間:2017年度 課題名:繰返し載荷を受けた鋼切欠き試験片から発生する延性き裂を伴った脆性破壊の予測手法の確立 平成26年度前田記念工学振興財団研究助成(公益財団法人前田記念工学振興財団) 期間:2014年度 課題名:繰返し履歴を考慮した切欠きから発生する脆性破壊の予測:累積塑性変形能力推定方法の確立 平成24年度鋼構造研究助成事業(一般社団法人日本鋼構造協会) 期間:2012年度 課題名:3点曲げ試験片における異なる切欠きの形状・深さが脆性破壊に及ぼす影響 平成24年度 公益財団法人長岡技術科学大学技術開発教育研究振興会研究助成 期間:2012年度 課題名:機械切欠きを有する3点曲げ試験片における切欠き深さの違いが脆性破壊の発生に及ぼす影響 2005年度鋼構造研究・教育助成事業(社団法人日本鉄鋼連盟) 期間:2005年度 課題名:柱梁溶接接合部における溶接欠陥から発生する脆性破壊の予測方法に関する研究 -溶接欠陥の合理的品質管理を目指して- 第7回建築鋼構造研究助成事業(社団法人日本鉄鋼連盟) 期間:2001年度 課題名:始終端部に欠陥を有する溶接接合部の脆性破壊に関する研究 |